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東京高等裁判所 昭和50年(ツ)4号 判決 1975年3月19日

上告人

南部金太郎

右訴訟代理人

安武宗次

被上告人

須賀広太郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

本件上告理由は、別紙記載のとおりである。

上告理由第一点について。《省略》

同第二点について。

記録を調べると、第一審において原告(上告人)本人の尋問が行われたことが認められるところ、その尋問調書が本件の第一審訴訟記録中に編綴されていないことは所論指摘のとおりである。

本件第一審第二〇回口頭弁論調書ならびに第二審記録六六丁に編綴されている江戸川簡易裁判所昭和四〇年(ハ)第八三号、第八六号併合事件第二二回口頭弁論調書の写および同六七丁ないし七五丁に編綴の原告本人尋問調書の写によれば、本件第一審の第二〇回口頭弁論期日において、本件を同簡易裁判所昭和四〇年(ハ)第八三号事件に併合の上審理する旨の決定がなされ、同併合事件につき昭和四八年六月二八日午後三時に開かれた第二二回口頭弁論期日において本件原告本人の尋問が行われ、その尋問調書は同併合事件の訴訟記録に編綴されていることが認められる。しかしで、右尋問終了後、同期日において右併合事件の口頭弁論より本件口頭弁論を分離する旨の決定がなされたことが同期日調書の前掲写によつて認められるところ、右分離後右原告本人尋問調書の正本または謄本を作成して本件記録に編綴する等の取扱いがなされることなく、本件第一審訴訟記録が控訴審たる原審裁判所に送付されたことが記録上窺われる。

しかし、原審第二回口頭弁論調書によれば、同期日において第一審被告の訴訟代理人であつた被控訴人(被上告人)代理人萩原四郎によつて、第一審判決事実摘示のとおり第一審口頭弁論の結果が陳述されたことが明らかであり、第一審判決事実摘示欄には前示原告本人尋問の結果を原告が援用した旨の記載があるから、その尋問調書が当時訴訟記録に編綴されていたか否かにかかわらず、右口頭弁論の結果陳述によつて右原告本人尋問の結果は原審の訴訟資料に供されたものといわなければならない。原審においては、その後裁判所の構成に変更があつたが、原判決の基本たる口頭弁論期日において当事者によつて従前の口頭弁論の結果の陳述がなされていることが記録上明らかであり、かつ、原審の訴訟記録中に前示のごとく右原告本人尋問の調書の写が編綴されていることに徴すれば、原審裁判所は所論原告本人尋問の結果を判断の資料に供したことが認められる。そして、原判決は、その事実摘示において第一審判決を引用して原告本人尋問の結果を判断の資料に供する旨を記載した上、理由の説示において、原判決判示の事実認定を左右するに足りる証拠は他に存しないとして、所論原告本人尋問の結果をも含めて証拠採否の判断を示しているから、原判決には判断遺脱その他所論違法はない。《以下省略》

(畔上英治 安倍正三 岡垣学)

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